2020年11月、前橋市役所の職員の方が共愛学園前橋国際大学の学生さんに向けて「起業」という選択肢について講演をなさるとうかがいました。
そして「前橋の起業家たち」の1人として、弊所代表 山田のご紹介があるようです。
スライド1枚では伝えきれなかった「創業のきっかけ」と「事業の概要」について補足説明いたします。
第1の創業(行政書士事務所)のきっかけ
私は兵庫県で生まれ育ち、大学卒業以来20年にわたって東京・千葉でサラリーマンをしてきました。1年遅れで入社してきた妻とは社内結婚です。
2015年10月、妻にがんが見つかりましたが発見が遅く、東京にも千葉にも受け入れてくれる病院はありませんでした。
受け入れ先を関東全域に広げたところ、最初にヒットしたのが群馬県前橋市の病院でした。最初の数回は片道180㎞を日帰りで通いましたが、身体へのダメージが大きく、今後は入退院を繰り返すことが予測されたので、移住することを決めました。
「あと1年半」という期限を切られたことで決心が固まり、働かず看病に専念するという選択をしました。
結婚して間もないころ「自宅兼事務所で働く士業の先生はいいねえ。そしたら1日中ずっと一緒にいられるのにね」と話したことがありました。
そこで、看病の傍ら国家資格である行政書士試験に挑戦することを決めました。生きている間に、ぼくの本気を見せてあげたい。15年ぶりに夢よ再びという思いでした。
1度で国家試験にパスできたので、次は看板を上げたところを見てほしくて、すぐに開業の手続きを進めました。その後、縁あって前橋市創業センターに入居することになりました。
第1の創業のきっかけは「妻の喜ぶ顔が見たい」というひとことに尽きます。
第2の創業(とりこっとん by nunology)のきっかけ
「あと1年半」といわれた妻は、3年半生きてくれました。おまけの2年は1日1日を本当にていねいに生きました。
最期の3か月はリンパ浮腫という脚のむくみと闘いました。むくみがひどくなると皮膚の表面からリンパ液が滲み出てきます。滲み出たリンパ液を吸わせるために病院ですすめられたのはペット用トイレシートでした。
ショックでした。
その次に使うことになったのは女性用の使い捨て生理用ナプキン。
どうして他の用途に使うモノを転用しなきゃいけないんだろう?
そうしてリンパ浮腫の専用品は手に入らないんだろう?という疑問を持ちました。
2019年5月に妻を看取って、写真の整理をしていたときに、生理用ナプキンをぐるぐる巻きにした妻の足元を撮った1枚に目が留まりました。
看病も看取りも完璧にやり切ったと思っていたぼくにも、たった1つだけ心残りがあったことを思い出させてくれました。「妻にしてあげられなかったことを他の誰かにしてあげたい。ぼくと同じ想いをする人を1人でも減らしたい」と、妻には着けてあげることのできなかった、リンパ浮腫による滲出液の専用吸収シート開発を志しました。
第2の創業のきっかけは「妻からもらった宿題を果たしたい」という想いです。