遺言書の検認手続きとは
遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、遺言書の検認を請求しなければなりません。
これは義務として定められていますので、家庭裁判所への提出を怠ると「過料」というペナルティが課せられます。罰金のようなものですね。
封印のある遺言書は、相続人等が立ち会って「家庭裁判所で」開封しなければなりません。
家庭裁判所以外の場所で開封してしまうと「過料」が課せられます。
遺言書の検認手続きにおける注意点
検認とは、相続人に対して遺言書の存在や遺言書の内容を知らせて、遺言書の内容を明確にして偽造や変造を防止することを目的とした手続きです。
遺言書が有効であるか、無効であるかを判断する手続きではありませんから、この点には、注意が必要です。
遺言書の検認手続きの申立人
遺言書の検認手続きを申立てる人は、
- 遺言書の保管者
- 遺言書を発見した相続人
です。
遺言書の検認手続きの申立て窓口
遺言書の検認手続きの申立て窓口は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所と定めらています。
住所地と定められていますから、たとえば前橋市民が東京旅行中になくなった場合でも、申立てる窓口は旅行先の東京の家庭裁判所ではありません。前橋市民であれば、前橋地方・家庭裁判所に申立てるということになります。
群馬県で遺言書の検認手続きを申立てる窓口
群馬県で遺言書の検認手続きを申立てる窓口は、お住まいの市町村によって異なります。
申立て窓口は、前橋地方・家庭裁判所の本庁、高崎支部、桐生支部、太田支部、沼田支部、中之条町出張所に分かれています。
それぞれの本庁、支部、出張所には、管轄(担当地域)があります。
それぞれの管轄を一覧にしたのが下の表です。
本庁 | 支部 | 家裁出張所 | |||
中 毛 |
前橋市 |
前橋地方・ 家庭裁判所 |
|||
伊勢崎市 | |||||
渋川市 | |||||
北群馬郡 | 榛東村 | ||||
吉岡町 | |||||
佐波郡 | 玉村町 | ||||
西 毛 |
高崎市 | 高崎支部 | |||
藤岡市 | |||||
富岡市 | |||||
安中市 | |||||
多野郡 | 上野村 | ||||
神流町 | |||||
甘楽郡 | 下仁田町 | ||||
南牧村 | |||||
甘楽町 | |||||
東 毛 |
桐生市 | 桐生支部 | |||
みどり市 | |||||
太田市 | 太田支部 | ||||
館林市 | |||||
邑楽郡 | 板倉町 | ||||
明和町 | |||||
千代田町 | |||||
大泉町 | |||||
邑楽町 | |||||
北 毛 |
沼田市 | 沼田支部 | |||
利根郡 | 片品村 | ||||
川場村 | |||||
昭和村 | |||||
みなかみ町 | |||||
吾妻郡 | 中之条町 | 中之条町出張所 | |||
長野原町 | |||||
嬬恋村 | |||||
草津町 | |||||
高山村 | |||||
東吾妻町 |
遺言書の検認手続きに必要な費用
遺言書の検認手続きに必要な費用は、
- 遺言書1通につき、収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手 です。
遺言書の検認手続きに必要な書類
遺言書の検認手続きには、まず、
- 申立書
- 添付書類 が必要です。
添付書類は、必ず提出を要するものと、場合により提出を求められるものがあります。
以下、場合分けをして説明します。
必ず提出を要する添付書類
遺言書の検認手続きに提出が必要な添付書類は、
- 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍
- 相続人全員の戸籍謄本
です。
遺言者の子が死亡している場合に提出を要する書類
遺言者の子やその代襲者がすでに亡くなっている場合は、その子やその代襲者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍を追加で提出することを要します。
遺言書の検認手続きに関する法律の規定
遺言書の検認手続きについては、民法という法律に規定されています。
【ふくろうの書庫】から、「民法第5編 第7章遺言 第4節遺言の執行」の1004条・1005条を見てみましょう。
1004条(遺言書の検認)
1 遺言者の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人またはその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
1005条(過料)
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認をしないで遺言を執行し、または家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。